重要なお知らせ

事業統括からのメッセージ

事業統括
副学長(教育運営担当) 神田 学

博士後期課程の学生は、日本の科学技術・イノベーションの将来を担う重要な存在であるにもかかわらず、「博士課程に進学すると生活の経済的な見通しが立たない」「博士課程修了後の就職が心配だ」といった理由から、進学率が低下傾向にあります。そこで、2021年10月より新たに、博士後期課程学生を対象とした『殻を破るぞ!越境型理工系博士人材育成プロジェクト』を創設しました。採択生は、生活費相当額の研究奨励費と研究費の支援を3年間受けるとともに、研究力向上やキャリアパス支援に関する様々な取り組みに参加いただきます。

“越境型”には、2つの意味があります。ひとつは、専門の壁を破って異分野と協働すること。もうひとつは、自分の殻を破って社会と知を共有することです。新しい価値の創造と持続可能で強靭な社会へ変革するためには、高度専門力(specialized skill)と異分野の知性と協働する汎用力(transferable skill)を兼備した越境型理工系博士人材が今、求められています。

汎用力は、有形知ともいえる高度専門力とは対極的に、一見無駄と思えるものや失敗、遊びから生まれる無形知で、閃きやつながり、俯瞰力ともいえます。この汎用力を身につけることにより、社会との深い関わりを見出し、個人の専門性を社会貢献につなげることができると考えます。

このプロジェクトでは、厳選した「キャリア開発・育成コンテンツ」に加えて、3か月以上の学外研鑽を採択生に課しています。私自身、学位取得後にドイツで1年間過ごし、ヨーロッパの数多くの研究室を渡り歩き、喧々諤々議論した経験は、驚きと喜びに満ち溢れた一生の宝物となりました。現在に至るまで、その時につくった人間的なつながりや得た発想が今の自分を支えています。皆さんにとっても貴重な経験になると信じて、学外研鑽にかかる費用も積極的に支援していますので、ぜひご活用いただければと思います。

本プロジェクトの趣旨に共感し、将来の日本を担う意欲の高い学生の皆様からの応募をお待ちしています。