事業統括からのメッセージ

事業統括 齊藤 滋規

日本の科学技術・イノベーションの将来を担う優秀な志ある博士後期課程学生が、経済的負担やキャリアの不安を持たず、躊躇なく博士に進学し、自身を最大限に生かす幅広いキャリアを選択できることを目的として、本学では2021年度に「高度人材育成博士フェローシップ」及び「殻を破るぞ!越境型理工系博士人材育成」を創設しました。2024年度より、これら事業の基本的な取り組みを継承するとともに一本化し、「Tokyo Tech 総合知と癒しの次世代フロントランナー育成プログラム」として新たに支援を開始します。

このプログラムは「総合知と癒しの次世代フロントランナーとして、現代社会が直面する諸問題を解決し、地球上の全ての構成員の福祉と幸福に貢献する高度専門⼈材を輩出する」とともに「高度専門力と汎用力を兼ね備えた博士号取得者が多様なキャリアの中から主体的に自らのキャリアを選択する」ことを目指しています。支援学生には、生活費相当額の研究奨励費と研究費を最長3年間支援するとともに、研究力向上やキャリアパス支援に関する様々な取り組みに参加いただきます。その選択肢の1つとして3ヶ月以上の学外研鑽があります。特に海外での学外研鑽にぜひ挑戦してください。思い切って研究室を飛び出し国際経験を積むことは、間違いなく皆さんの飛躍の大きな糧となります。また、データサイエンス・AI全学教育機構、あるいはアントレプレナーシップ教育機構の提供する教育プログラムの履修の選択肢もあります。これらはいずれもみなさんが将来さまざまな場で活躍する際に必須となる専門力、汎用力を育成するものです。

私自身、学位取得後にスイスとアメリカに合わせて2年半程度過ごすという素晴らしい機会に恵まれ、そこで得た経験やネットワークから多くの貴重なものを得ることができました。特にキャリアの中で一番初めの海外滞在であったスイスのチューリッヒという土地での半年間の滞在で同僚やまわりの環境から得た刺激は、その後の人生の方向性を形作りました。それは研究者として思考の次元を拡大し,生活者として「自分自身の人生を自由にデザインする希望」を与えてくれるものでした。1998年のその経験から四半世紀を経た今でも、つい昨日のことのように鮮明に記憶に刻まれています。皆さんにも是非そのような体験をして欲しいと願っています。

ぜひ本プロジェクトの趣旨に共感し、将来の日本を担う意欲の高い学生のみなさんからの応募をお待ちしています。