対話型AIの見分け方と向き合い方

Interview No.26 中西 優馬
理学院

 理学院物理学系笹本研究室所属の中西優馬と申します。専門は非平衡量子理論物理です。研究には紙とペンを主に使っています。
 趣味はお笑い鑑賞、卓球、謎解き、サウナ、モルックです。物質情報卓越教育院で出会った同期とよく遊んでいます。

研究概要 / Research Outline

 非平衡量子物理の理論研究をしています。この分野の究極的な目的は、平衡熱力学や平衡統計力学などの一般的に適用できる理論の枠組みを構築することですが、我々が生きている間には不可能だと思われます。ですので、21世紀を生きる我々が行うことは、非平衡系(熱平衡状態には緩和しない系)でしか見られない現象を見つけたり、限られた非平衡系のクラスの中で意味のある定理を証明したりすることだと思っています。
 非平衡現象の中でも私は、「時間結晶」を研究しています。みなさんご存知の結晶は、物理(数学?)の言葉でいうと、連続空間並進対称性が離散空間並進対称性まで自発的に破れた系です。もっと簡単に言えば、原子の位置が周期的になっている系です。このアナロジーとして発案されたのが時間結晶で、連続時間並進対称性が離散時間並進対称性まで自発的に破れた状態のことです。もっと平たく言えば、時間的に周期的に振動した状態のことです。これの何が面白いのかというと普通の量子力学で扱われる孤立系では決して現れないということです。つまり、非平衡まで拡張しないと存在しないわけです。このような非平衡特有の現象について起源や法則について日々解き明かしています。

対話型AIの見分け方と向き合い方

 みなさんは最近流行りのChat GPTなどの対話型AIと一般的な文章を見分けることが可能だと思うでしょうか?
 私は対話型AIを見分けることは、一般的には難しいと思います。なぜなら、対話型AIは人間のような自然な対話を行い、幅広いトピックについての知識を持っているからです。ただし、いくつかの特徴を観察することで見分けることができるかもしれません。たとえば、AIとの対話では、一般的な挨拶や冒頭のフレーズから始まることが多いです。また、AIは大量のデータを基にして学習しているため、特定のフレーズや回答の繰り返しをすることがあり、専門知識や最新の情報にも限界があります。しかし、これらの特徴は完全な指標ではありません。例えば、AIの進化によって、より洗練されたモデルが開発され、見分けることが難しくなる可能性もあります。ですからクリティカルな思考を持ち、自身で情報を検証することも大切だと思います。

 さて、この第二段落を読んでみなさんは違和感を感じたでしょうか? もし、違和感を感じた人がいれば大正解です。実はこれはChat GPTを使って製作した文章です。私の感想としては、現状のクオリティですら、一般的な文章と見分けのつかないところまで来ているのではないかと思います。
 そして将来的に上司や教員の立場になり、申請書などさまざまな書類をチェックする機会が増えていく私たちは、この対話型AIとの向き合い方を各々しっかり考える必要があると思います。例えば、情報の正確性や信頼性を確認はもちろんのこと、どの状況で対話型AIの使用を制限すべきか、人間の判断や倫理的な考慮を組み合わせて対応する必要があると思います。また、対話型AIや新たな科学技術が得意な仕事ではなく、人間の特性が発揮できる仕事を見つけ、うまく棲み分けることで共存していきたいですね。みなさんもぜひ対話型AIとの向き合い方を考えてみてください。ただ、もしかするとこの文章も対話型AIが作ったのかもしれませんが…

アメリカの国際会議にて

メッセージ / Message

 研究の旅は挑戦的で時に辛いかもしれませんが、自信を持って進んでください。努力と情熱を持って問題に取り組み、新たな知識と発見を追求してください。困難が立ちはだかっても諦めず、前進しましょう。同僚や先生方を頼ることも大切ですが、自分の考えや意見を大切にし、自己成長を追求してください。最後に、楽しみながら研究に打ち込み、自身の研究が社会や学術界に貢献することを願っています。頑張ってください!