美術館に行ってアートを楽しもう!(おすすめの展覧会)

Interview No.10 野間 央  物質理工学院

東京工業大学物質理工学院応用化学系博士二年の野間央と申します.
趣味は,読書,美術館巡り,ゴルフ,フットサルなどいろんなことが好きです.
休日の過ごし方は,趣味にも書いた通り美術館巡りと外出することが多いです.
東工大の好きなところは,いろんなことに挑戦できる場があるところです.

Research Outline

私の研究は,潤滑油中における金属同士の摩擦機構の解明を行っている.潤滑油はベースオイルと添加剤から成り立っており,添加剤が摩擦によって金属と化学反応が起こり,金属表面にトライボフィルムという反応物を形成する.摩擦現象は,相対運動をしている二つの物体の接触部で起きるため,トライボフィルムの特徴が摩擦特性に影響を及ぼすと考えられる.また,摩擦特性に影響を及ぼすとされるトライボフィルムの特徴として,表面の粗さ,潤滑状態,荷重,温度など様々な要因が考えられる.そこで,多くのパラメータを扱うことに長けている機械学習を用いて,摩擦現象の解明に応用することを着想した.従って,複数の添加剤併用系で形成されたトライボフィルムの摩擦発現メカニズムを調査するために,摩擦試験により得られた実験データを用いて,機械学習による摩擦に関与する因子の関係性を評価している.

おすすめの展覧会

私の情報発信では,美術館の楽しみ方や自分が作った作品の紹介を行うことで,少しでもアートに興味を持っていただけたらと思います.このパートでは私のおすすめの展覧会を紹介します.今回紹介する展覧会はアーティゾン美術館で行われている『生誕140年 ふたつの旅 青木繫×坂本繁二郎』と21_21 DESIGN SIGHTで行われている『クリストとジャンヌ=クロード”包まれた凱旋門”』です.これらの展覧会は,個展のような一人のアーティストにフォーカスした展覧会や芸術の歴史を学べるような一般的な展覧会ではなく,しっかりとしたコンセプトがあり,とてもユニークな展覧会となっています.

一つ目のふたつの旅では,同郷で幼いころから仲の良い二人の芸術家が,お互いの作品に感化され合いながら,切磋琢磨し成長していく様子を,作品を通してみることができる展覧会となっております.ここで,この展覧会の作品を紹介します.私がこの作品で面白いと感じるところは,二人の画風は全く異なりますが,どこか優しさを感じられる絵になっているのではないでしょうか.これは二人の思う気持ちがそうさせたのかもしれません.さらに,坂本繁二郎は,先に死んだ青木繁の意思を引き継ぎ,何か坂本繁二郎と青木繁の二人で作品を創り上げているようにも感じることができました.このように,この展覧会では,二人の作品の歴史をたどることで,ある種ドラマを見ているような感動を体験することができます.

二つ目の包まれた凱旋門とは,フランスパリにそびえたつ凱旋門に布をかぶせることで,布で包まれた凱旋門を芸術作品にするプロジェクトのことです.そして,この展覧会では,このプロジェクトがどのように遂行されていったのかを見ることができるものとなっております.ここで,この展覧会の作品も紹介します.これらの作品は,布で囲まれた凱旋門が街の中にそびえたっている異様さと厚い布によって凱旋門の壁面を傷つけないように緻密に計画立てていることを見ることができます.この展覧会は,布で隠された凱旋門が布で包まれているからこそ見える凱旋門の偉大さを感じられる一方で,このプロジェクトがどのように行われたのかを詳細に教えてくれるものでした.今まで,完成された作品を美術館で見ることが一般的でしたが,そこの作品がどのように作られているのか,余すところなく見られる美術館は他にないと思います.

現在行われている展覧会は,面白い展覧会がたくさん行われています.今回紹介した以外にも面白い展覧会がありますので,自分に合った展覧会を見つけに行くという意味で美術館に行くでもいいと思います.また,美術館というものが,自分とは無縁な存在として位置付けるのではなく,一つのエンターテインメントとしてみていただき,是非美術館に行くことを楽しんでもらえればと思います.

Message

美術館で行われている展覧会の中には,感動する映画を見ているような気持ちになることもあるでしょう.芸術の歴史を紐解くストーリーを追体験できる展覧会もあります.今回紹介した展覧会は,放蕩にごく一部です.美術館で行われる展覧会は,それぞれの特徴を持ち,とても個性的だと思います.採択者または応募者の皆様には,展覧会それぞれの特徴を感じ取っていただき,面白いものになっていただけたらと思います.